中小企業診断士の野村です。
前回「資金調達先として複数の銀行と取引した方がいい」とお話ししました。
それでは取引銀行を増やすには、具体的にどのようにすればよいのか。
なんでもそうですが、最初が肝心です。銀行取引も、第一印象や取引開始の方法によって、今後の銀行との関係も大きく違ってきます。資金調達先として、今後円滑に資金調達をするために銀行と取引を開始することを目的として、どのような方法が良いか紹介していきます。
一番良い方法は、取引しようと思っている銀行の優良取引先に、その銀行を紹介してもらう方法です。優良取引先であることが大切です。
優良取引先からの紹介であれば、銀行にとっての安心感は格段に違います。
銀行員としては、「○○社の社長からの紹介だから、何とか融資を取り上げしなくては・・」という発想になり、貴社との取引開始に向け、その優良先への対応並みに熱心に取り組みます。また、多少の融通を聞いてくれたり、有利な条件を引き出すことも可能となるはずです。その優良先の銀行からの信用を利用することができるのです。
これは一般的な新規先への営業活動にも同じことが言えますね。
貴社の仕入先であれば、その会社からの請求書に振込指定口座の記載があるはずですから、どこの銀行と取引しているかわかります。また、その他にも親しい人がいればその人に紹介してもらうこともいいでしょう。
その銀行の優良取引先かどうかは、規模の大きさ、業界内の評判などがありますが、一番わかりやすいのは銀行員の訪問頻度です。特に銀行の支店長が頻繁に訪問するような企業は、優良先か業績が悪く回収に向け交渉しているような先のいずれかです。いろんな銀行の支店長が訪問してくるような企業に紹介を依頼するのが一番です。
決してやってはいけないのは、いきなり銀行に飛び込む方法です。
預金取引も全くない銀行の融資窓口に行って、「あの~融資を受けたいのですが・・・」というのは絶対のやってはいけません。
なぜか。銀行は一見客に対してはとても不信感をもって対応します。
預金口座作成ですら、振り込め詐欺などの犯罪に利用されるのではないかと、「なぜ他行でなく、当行に口座を作成するのか」「何のために口座を作成するのか」と怪しまれることになります。
特に融資に関しては、「いろんな銀行を回って断られて来たのだろう」というスタンスで対応されることになるので、何とか融資を取上げしてくれることになっても、条件は企業にとって不利なものとなるでしょう。
紹介してもらう人がいない場合はどうするか。
少しハードルは上がりますが、預金口座を作成し、銀行の渉外担当者から融資の売込みがあるのを待つ方法があります。
銀行の渉外担当者は企業向け融資の大きなノルマを抱えて日々活動しております。特に新規融資先の獲得は銀行の渉外担当者にとってメインの活動テーマの一つに挙げられます。新規融資先の獲得は銀行内でも一番評価される項目なのです。
銀行は興信所等の情報をもとに新規見込み先に飛び込み営業をかけたりしておりますが、貴社に変な情報がなければ、必ず銀行側からアクションがあるはずです。
資金調達先としての取引銀行を増やすのが目的ですから、今後の取引を有利に進めるためにも取引開始の方法は十分に戦略を立てて対処することをお勧めいたします。
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