新規取引銀行への融資申込み

中小企業診断士の野村です。

 

今回は新規取引銀行への融資の申込みについてです。

 

新たな銀行と取引を開始する目的は、無担保プロパー融資を調達する窓口を増やすことにあります。

銀行での中小企業向けの一般的な融資は、銀行独自の融資である「プロパー融資」と各都道府県にある「信用保証協会の保証付融資」の2種類があります。またそれぞれ有担保・無担保に分けられます。

信用保証協会付融資については企業毎(業績や財務内容による)に限度額が規定上、運用上設けられています。規定上は一般保証2億円、無担保保証8千万円ですが、運用上は規定の限度額まで利用できる企業は殆どありません。

また、不動産などの担保にも限界があります。各企業や経営者などの個人が担保として拠出できる資産には当然に限界があるはずです。

 

しかし、銀行にとって新規取引企業に対しては、当然に今までの実績や信頼も無い状態ですので、いきなり無担保で長期返済での対応は、かなりハードルが高いものとなります(決算内容がかなり良い優良企業は別ですが)。

また、銀行側の内部事情もあります。法人融資担当者が一番評価される項目が「新規法人融資先の獲得」ですが、反対に一番評価を落とされるのが、「新規法人融資先での短期間での破綻」です。新規法人融資先が破綻すると、担当者はもちろん、支店長やその支店に対して大きなマイナス評価となってしまいます。最悪の場合左遷させられてしまうことも。

 

保証協会付融資はその新規取引した銀行で利用しても、その他の銀行や既存の銀行で利用しても、都道府県や市町村の制度資金を利用するならば条件面は殆ど変わりません。信用保証協会付融資だけを利用するのであれば、新規取引の銀行は必要ないのです。有担保での融資に関しても同様のことが言えます。

 

そこで、法人新規融資先に対するプロパー無担保での融資形態として、銀行にとって一番取り上げし易いのが、短期約弁付融資になります。「手形貸付で融資期間3~6ヶ月、1か月目から分割弁済」といった形態が一般的です。企業側にとってはメリットを感じられない融資となる可能性はありますが、今後のプロパー無担保融資を引き出すための実績作りとして、まず新規取引の入り口として銀行の申し出通り対応してもいいと思います。

 

この資金とマッチするのが、決算(納税)資金や賞与資金です。3月決算企業は5月末に決算書は出来上がっているはずで、まさに今の時期に、新しい決算書を持って決算資金や夏の賞与資金の調達を新規取引銀行に申し出してみてはいかがでしょうか。