中小企業診断士の野村です。
引き続き銀行取引についてお伝えしたいと思います。今回は複数の銀行と取引した際の注意点です。
銀行から定期的に資料の提出を求められることがあります。試算表、資金繰り表、請負工事現況表などです。その中で良く試算表と同時に「金融機関取引状況表(銀行によって呼び名は違うと思いますが)」の提出を求められると思います。試算表時点の銀行別預金・借入残高の一覧表です。
なぜ、この「金融機関取引状況表」の提出を求めるのか、銀行は何を見ているのかという話です。
銀行は貸出を増やしたいと考えています(当然商売ですから)。しかし、よほど業績の良い会社でない限り、メイン銀行にはなりたがらないものです。銀行としては、メイン銀行には企業に対し責任を取る必要があると考えているからです。企業側からすると責任を取って欲しいという意識はないかもしれませんが、銀行はそう思っています(そう思っているところが多いです)。銀行としては、貸出は増やしたいが、気がついたらメイン(サブメイン)行になっていたという状況は避けたいのです。そこで、金融機関取引状況表により自行のシェアを常に意識しています。銀行としては、メイン行はこの企業に対してちゃんと支援をしているのか?他行はどうか?シェアが入れ替わっているところはないか?を金融機関取引状況表により確認しています。
メイン銀行とは一般的に貸出残高の一番多い銀行のことを言います。メイン銀行は貸出残高が一番多いこおから、当然に預金などの経常的な入出金なども一番多く、その企業に関する情報を一番知りうる立場にあると考えています。万が一、メイン銀行が残高(シェア)を落としていたら、「当行の知らないネガティブな情報を入手しいて、当社から引こうとしているのでは?」と考えることになります。逆に言えば、メイン銀行を含めた他行がシェアに応じた対応を継続している場合、「当行も他行と同調し、シェアに応じた対応が必要だ」という発想になります。
あまり企業側は意識していなくとも、銀行側はそのように見ております(見ていることが多いです)。借り入れの申込みなど、企業側も銀行取引はシェアを意識した対応が必要です。
コメントをお書きください