中小企業診断士の野村です。
引き続き銀行取引についてお伝えしたいと思います。今回も複数の銀行と取引した際の注意点、前回のシェアの続きです。
銀行は貸出残高に限らず、シェアを常に意識しています。
例えば預金残高。貸出のシェアに応じた預金の預入があるか、定期預金はどうかも、銀行がチェックするポイントです。預金はいざというときに貸出と相殺可能であることから、銀行にとっての保全(担保)の意味においてシェアを強く意識します。
また、預金はその企業の預金だけでなく、経営者や保証人の残高にも目を向けています。理由は同じく万が一の時に貸出(保証債務)と相殺可能となることから、保全の意味合いが強いです。
不動産などの担保の状況についても同様です。貸出残高は多いけど、実態は不動産担保がいっぱいで無担保での貸出が殆どない場合などは、「この銀行は当社を評価しているとは言えない」と銀行は見ています。
また、保証協会付貸出についても同じです。支援はしているようだけど、保証協会付の貸出しかしない場合も評価しているとは言えません。
更に、銀行には預金・融資以外にさまざまな取引(サービス)があります。総合振込、給与振込、支払手形決済、受取手形の取立て、売上代金の入金などです。これらの取引についても貸出のシェアを基準に、「当行は他行と比較して取引内容は見劣りしていないか」を意識しています。
一度自社の金融機関取引状況から個人の預金、不動産などの担保や保証協会の利用状況を確認してみてください。自社においてもシェアを意識し調整することが、今後複数の金融機関から円滑に資金を調達するために必要になってきます。
また、金融機関取引状況表は通常月末の残高を記載します。経常的な取引(売上代金の入金や支払など)は利便性の良い金融機関を利用したいものですが、月末だけはシェアを意識して預入金融機関を調整することもテクニックとしては有効です。
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